「社会人基礎力」とは、経済産業省の提唱する社会人に必要な能力で、「企業や組織の中で、多様な人々とともに仕事を行っていくうえで必要となる基礎的な能力」としています。
具体的には「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」という能力を掲げています。
この「社会人基礎力」を、実務における能力として体系化した根幹部分が情報活用力です。
情報活用力によって、既存の仕事のフレームワークを、より使いこなすことが出来るようになり、基礎能力を上手にビジネスで活用することができるようになります。
つまり、情報活用力の育成をすることで、実務における社会人基礎力の向上につながるのです。
仕事力は、「基礎能力」「共通能力」「専門能力」の3つに大別できます。
「基礎能力」…一般教養や読み書きそろばんといった基礎学力
「共通能力」…「対人能力」「対情報能力」「対自己能力」から成り立つ能力
「専門能力」…専門知識や技能、各企業固有のスキルなどのこと
特に「共通能力」はすべての職種の社会人にとって重要な能力であり、必要不可欠な能力です。
共通能力とは、従来は家庭生活や学校生活で基礎が培われ、社会に出てからは、OJT(on the job training)において、上司や先輩からの指導・訓練によって磨かれていた能力です。近年、この能力の重要性が改めて注目され、経済産業省ではこの共通能力のことを「社会人基礎力」と呼んで、強化を呼びかけています。
情報活用力とは、「情報を活かす力」すなわち、「情報を効率的に収集・分析・整理し、適切に他者に伝えられる力」のことです。
共通能力の3つの要素はいずれも情報活用力と深い関係を持っています。特に「対人能力」「対情報能力」は、情報活用力が無ければ成り立たない能力です。
対人能力 | 対情報能力 | 対自己能力 |
他者に働きかけたり、協力し合いながら物事を進めていく能力 | 情報を分析し、考察し、構築する能力 | 意思を持って、自己に向き合い、自らをコントロールする能力 |
・意志を伝達する ・他者の意見や要望を聴き取る ・話の脈略やTPOを判断する ・他者との協調、同調をする など |
・現状を把握する ・課題を発見する ・課題解決するための仮説を設定する ・目標に向けてプロセスを計画する ・新しい価値を創造する など |
・やる気を持続させる ・目標をかかげ行動する ・主体的に取り組む ・状況を前向きに捉える ・気持の切り替えをする など |
他者とのコミュニケーションは、「印象」「情報」「意思」のやり取りであるため、情報を正確に聴き取り、効果的に伝える能力は重要性が高い。特に、ビジネスコミュニケーションではこの傾向が強い。 | 対情報能力とは、情報活用力に思考や計画等のフレームワークを組み合わせたものであり、極めて関連性が高い。 | 他の2つの能力に比べると関連性は低いが、「他者とのかかわり」におけるコミュニケーションや「目標管理」や「キャリアデザイン」等、情報活用力を駆使することによって補強される能力である。 |
情報活用力は、「社会人基礎力」を、実務における能力として体系化した根幹部分です。
情報活用力を身につけることで、既存の仕事のフレームワークをより使いこなすことができ、経験の少ない若年人材でも能力をフルに発揮できるようになります。
また、枠組みがあることで業務の一般化・効率化ができ、モチベーションアップにつながります。
同時に、自分や相手の伝えたい「情報」を的確に判断できるようになることでコミュニケーション能力の向上につながり、他者と協力して業務ができるようになります。
情報活用力の育成をすることで、個人の能力を、より実務に生かせるようになり、社会人基礎力の向上につながるのです。