2017年10月15日
『eg(電気とガス)』10月号の解答
今回は、プロジェクトメンバーでファイルを共有し、分担して編集作業を行う際のファイルの管理方法について判断する問題です。
問題文を確認しましょう。企画書ファイルの取り扱い方について、以下の内容が提示されています。
「重要な情報を扱うため、作成したファイルはプロジェクトのメンバーであればいつでも追記ができるように共有しつつ、メンバー以外には閲覧ができないようにする。」
今回のプロジェクトでは、重要な問題を扱っています。
業務で重要な情報を含むファイルを管理する時、考慮すべきことは以下のとおりです。
(1) ファイル利用者の明確化とアクセス制限
関係者以外の人がアクセスできない環境になるよう制限する。また、業務上必要なメンバーを選択し、メンバーのみ閲覧や編集が可能な状態にする。
(2) 情報漏洩対策
情報が関係のない人に流出したり、閲覧されたりしないよう対策を行う。企業の情報を勝手に持ち出したり、会社の管理外に放置したりしない。
(3) ファイル保管環境のセキュリティ、保全対策
ファイルがウィルスに感染したり、壊れて紛失したりしない環境を選ぶ。またはそのような環境づくりを心掛ける。
上記の3つのことに加えて、複数人で同一のファイルを共有・編集する時は、作業を効率よく、安全に行うために次のようなことも考慮すべきです。
(4) バージョン(更新履歴)管理
複数のメンバーで編集作業をしても、常に最新の状態でファイルを共有しあい、編集時のバージョンを混合しない。
(5) ファイルへのアクセスの容易さと業務の効率性
業務を行う担当者が編集作業以外に時間と手間をかけずに済む方法を採用する。
では、選択肢の対応方法を1つずつ確認してみましょう。
A. DVD-RWにファイルを保存した上で、鍵のかかるキャビネット内で保管し、メンバー全員で共同利用する
DVD-RWは一般的に完成済みのデータを保管するために用いられ、保存、携帯しやすいという点が優れています。一方で、複数人で編集するデータを保存する媒体としては、使用中のメンバー以外が現在の進捗状況や内容を確認できないという問題があります。
また、この選択肢では、鍵のかかるキャビネットでDVD-RWを保管するため、ファイルの情報流出は概ね予防されます。ただし、作業後に都度DVD-RWにあるファイルを上書き保存し、キャビネットに戻す必要があるため、鍵の管理など編集作業以外の対応で時間と手間がかかってしまう可能性があります。
B. 個人で使用しているクラウドストレージにファイルを保存し、メンバーに編集可の権限を設定する
この選択肢では、クラウドストレージ上にファイルを保存しているため、メンバーがいつでもファイルを編集することができ、バージョン管理が容易です。しかし、「個人で使用しているクラウドストレージ」に、社内の重要な情報を含んだ企画書ファイルを保存することで、担当者がプライベートでパソコンを利用した際に操作ミスや判断ミスにより、企画書ファイルが誤って外部に流出してしまうといった危険性があります。
また、パソコンやクラウドストレージを家族で共同利用している場合や、利用環境のセキュリティ対策が不十分である場合には、ファイルがウィルスに感染したり、外部から不正にアクセスされたりする危険性も高くなります。
C. メールにファイルを添付し、次に編集する人をTOに、その他のメンバーをCCに入れて送信し、管理する
この方法は、事前に決めた編集の順番で、メンバー各自が編集を行います。同時編集が起こらないためバージョン管理はしやすいですが、内容を少しだけ修正したいといった場合でも自分に編集順序が回ってくるまで、待機する必要があります。
また、限られたメンバーでのやり取りなので漏えいのリスクは低そうに見えますが、メール送信時のTO、CCの指定ミスなどで、外部へ送信してしまう危険性があります。
D. ファイルに閲覧用パスワードをつけて社内のグループウェアに公開し、メンバー内だけでパスワードを共有する
この選択肢では会社に所属する人や許可した人だけがアクセス可能なグループウェア上に、閲覧用パスワードをつけてファイルを保管しています。社内グループウェアは会社の管理下で運用されているため、一定のセキュリティが担保されていると判断できます。加えて、パスワードを知っている特定のプロジェクトメンバーのみが閲覧・編集することができるようになっています。
また、バージョン管理については同時編集が起こらないように、編集中であることを明示したり、共有したりするなどの工夫が必要ですが、グループウェアの種類によっては、誰かが利用しているときに他の人が編集できない状態(ロック)にできるシステムもあります。
各選択肢を考慮して対応を整理すると、以下のようになります。
(〇:適している、△:やや不適切か配慮が必要、×:不適切、不可能 カッコ内の数字は判断基準の条件です。)
よって、答えはDとなります。
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